令和元年10月9日(水)
本日福岡県議会『決算特別委員会』の総括質疑にて総務部防災危機管理局消防防災指導課・人づくり・県民生活部生活安全課に対しまして、質問を行いました。内容は下記の通リです。
今回は『京都アニメーション事件の発生を踏まえた、本県の安全・安心の取組みについて」の質問を致します。去る7月18日。京都市にある「京都アニメーション」スタジオでの「放火事件」。皆様「まだ記憶に新しい」ことだと思います。事件の概要は、18日の午前10時半。41歳の男が、建物に侵入し、大量のガソリンを建物1階や、従業員などにまき、ライターで着火した後(のち)、爆発を伴う火災『爆(ばく)燃(ねん)現(げん)象(しよう)』というようですが、この『爆(ばく)燃(ねん)現(げん)象(しよう)』が発生し「多くの、罪なき人々を死に至らしめた」というものであります。この放火事件により、全身やけどで集中治療されていた女性が4日前にお亡くなりになり。死者「36名」という、多くの尊い命が、一瞬にして、奪われました。また負傷者「33名」の方々も、今なお心身共に大きな爪(つめ)跡(あと)を残しておられる」とのことであります。今回の大事件。決して、許すことの出来ない暴挙であり、犯人に対する、強い憤りを禁じ得ないのは、私だけでは、無いと思っております。亡くなられた方々。残された遺族の方々の「無念さと底知れない悲しみを思うと『痛恨の極み』であります。今回の事件の原因については、警察や、京都市当局において、「究明と検証」が行われているところでありますが。私は「議会人として」次の、2つの点について、問題意識を持っております。まず、1点目。40リットルもの大量のガソリンが、「携行缶」しか持たない、犯人の男に「簡単に、容易に販売されていた」という事実が一つ。2つ目は、犯人の男が、携行缶入りのガソリンを、白昼、堂々と、4、5百メートルにわたり、「台車で」搬送したにもかかわらず「見過ごされた」あるいは「誰かの目に触れても、通報もなく、制止されることもなかった」という事実。この2点のことを踏まえて、本県の関係所管の執行部に、問い質して参ります。
問1 はじめに。犯人の男は、事件直前に、数百メートル離れた「セルフ式ガソリンスタンドで」20リットルサイズの、携行缶「2個」に、給油する形でガソリンを購入。ガソリンスタンドは、消防法令上「ガソリンの容器への詰め替え販売において、何ら問題はなかったのか。また詰め替え販売に際して何らかの制約はあるのかお尋ねします。
答1ガソリンは消防法に定義される引火性液体の危険物に該当することから、ガソリンスタンドで詰め替え販売を行うに際しては、危険物取り扱い免許を持った従業員が、消防法令に適合した金属製容器で給油をしなければならないことが定められております。なお、購入者に対する身分証や使用目的の確認については、特段の定めはありません。この事案に際し、消防庁に確認したところ、容疑者は、金属製の20リットルガソリン携行缶2缶を、ガソリンスタンドに持込み、従業員よりガソリンを購入しており、法令上問題なかったということです。
問2 今回の、京都アニメーション放火事件発生後。消防庁は全国の自治体や業界団体に対して、ガソリンスタンドにおけるガソリン容器詰め替え販売の取扱いに関する通達を行っている。とのことですが本県に対して、いつ、どのような通知・通達があったのか。また、それを受け現在に至るまで、本県及び消防本部はどのような対応をし、取り組んできたのかお答え願います。
答2 7月18日の事件を受けて、7月25日に消防庁は、各都道府県消防防災主管部長あてに通達を発出しております。
その内容は、1.給油取扱所における購入者に対する確認や使用目的の問いかけ、販売記録を作成する取組みを推進すること
2.警察本部と連携を図ること
3.市町村に対してその旨を周知すること
の3点でございました。また、同日付で消防庁は、石油連盟会長及び全国石油商業組合連合会会長あてに、1.給油取扱所において、ガソリンの容器への詰め替え販売をする場合は消防法令の遵守を徹底すること2.購入者に対する身分証の確認や使用目的の問いかけ、販売記録を作成する ことの2点を要請しております。本県では、これを受け、消防本部と警察本部との連携を強化するため、直ちに福岡県消防長会の会長である福岡市、副会長の北九州市、予防委員長の大牟田市の3消防本部及び警察本部に呼びかけ、7月30日に協議を行ったところです。その結果、消防本部と県警の連名でガソリンスタンド事業者向けの啓発用チラシを作成・配布することや、ガソリンスタンド事業者から不審者に関する通報が警察にあった場合については、速やかに、消防本部と情報共有することなどが、取り決められました。この内容は、8月1日付けで県内24消防本部消防長へ消防防災指導課長名で通知したところです。また、8月9日には、災害予防に関する啓発、講習などを実施しております公益社団法人福岡県危険物安全協会に対し、危険物取扱者の保安講習において、購入者に対する身分証の確認、使用目的の問いかけ、販売記録の作成、これらを周知するよう要請いたしました。
問3 今後、消防庁はガソリン販売における消防法令の改正を行う検討はされていくのかお尋ね致します。
答3 消防庁に問い合わせたところ、現時点において消防法令の改正は予定されていないとのことであります。
問4 被害の大きさから、この事件を「単なる殺人事件の1つと見てはならない」と思います。このような、悪質で重大な事件は全国どこでも起こり得る。福岡県で起きる可能性も否定できない。そのことを考えると、当然本県としても「未然防止対策を」考えていく必要があると考えますが。課長の見解を、お伺い致します。
答4 先ほどご答弁申し上げましたが、県では、消防本部及び県警と協議を行い、消防本部・県警との連名でガソリンスタンド事業者向けの啓発用チラシを作成いたしました。具体には、8月から9月にかけて各消防本部が直接ガソリンスタンドに出向いて、購入者に対する身分証の確認、使用目的の問いかけ、販売記録の作成を徹底するよう啓発を行ってきたところです。今後、消防本部では、定期的にガソリンスタンドへの立ち入り検査する際、事業者が購入者の身分証の確認等を適切に実施しているか、確認を行うこととしております。今後、これらの取組みの徹底を図るため、県、消防本部、県警察本部の3者で定期的に会議を開催し、それぞれの取組みの状況や方針について、情報の共有を図ってまいります。
問5 和歌山県の、仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)県知事は、
「京都アニメーション」の、放火殺人事件に鑑み「ガソリンが、あんなに、自由に入手できるのはおかしいんじゃないか」と述べ、ガソリン販売規制強化を、独自に、検討する考えを 明らかにしました。すでに、防災などの担当部署に対し「法律上の制約実施方法、規制した場合の市民生活への 影響などを調査するよう、指示した」と発言されたようです。この発言について、課長は どう受け止めておられるのか、お聞かせ願います。また、消防庁にも在籍されておられた、野村総務部長にも、同じく、その発言の見解をお伺い致します。
答5(消防防災指導課長)
和歌山県知事は自治体で何かできることがないかと言うことで、ご発言されたものと考えます。県としては、先ほど答弁いたしましたように、今回は国において法令改正には至らず、関係機関の要請に止まっております。これを踏まえ、この要請が現場でしっかり遵守されるよう、県、消防本部、警察本部の3者で、しっかり連携を図ってまいりたいと考えております。また、和歌山県や、他の自治体の動きを注視しながら、本県でできることについて、検討してまいりたいと考えております。
(総務部長)
先ほど課長が答弁しましたように、和歌山県知事は自治体で何かできることがないかと言うことで、ご発言されたものと考えます。今回は国において法令改正には至らず、関係機関の要請に止まっております。これを踏まえ、この要請が現場でしっかり遵守されるよう、県、消防本部、警察本部の3者で、しっかり連携を図ってまいりたいと考えております。また、和歌山県や、他の自治体の動きを注視しながら、本県でできることについて、検討してまいりたいと考えております。
問6 次に「消防面」だけの観点のみならず「安全・安心面」という観点から「人づくり・県民生活部生活安全課」に質問致します。本県には平成20年4月に設置された「福岡県安全・安心まちづくり条例」と「福岡県安全・安心まちづくり推進本部」があります。推進本部では「県民が安全で安心して暮らせる社会の確保を目指し、犯罪の防止に係る施策を、総合的かつ効果的に推進するため設置する」とされております。今回の放火事件に対して「生活安全課」として、どのような対応・対策を講じてきたのか、お伺い致します。
答6 本県といたしましては、このような事件を、少しでも地域の力で未然に防げるよう、地域防犯団体や県民の皆さんに対し、犯罪企図者を見抜くポイントなどの情報を共有していただくため、防犯リーダー養成講座を年2回、実施しており、この中で「地域の異常や異変」に気づく目を養うこと、そして、知り得た「地域の異常や異変」に関する情報を警察などに対し迅速に伝えていくことについても、カリキュラムに取り入れているところです。また、2年前からウォーキング、犬の散歩、通学・通勤など、日常生活の中に、防犯の視線を取り入れることで、誰もが気軽に行うことができる「ながら防犯」を提唱しており、この取組みの中でも、地域の異変等を伝達する相手方、例えば、防犯リーダー、警察や自治体との連携が十分に機能している様々な取組事例を紹介しているところです。
しかしながら、今回の事件を教訓に、犯罪企図者を見抜くスキルや、実効性のある行動に結びつけることを、県民や事業者の皆さんに十分に浸透させていくことが一層、重要であります。
このため、犯罪企図者を見抜く力を養成していく取組みに加え、京都市で設置されている緊急検証対策チームによる原因究明や検証結果を踏まえ、消防本部、県警察と一緒になって、未然防止のための対策について協議を行い、その結果を地域住民、事業者、地域防犯団体の活動支援に活かしてまいります。
問7 今回のような大きな問題は「生活安全課」単独で解決できる問題でないことは、私も承知しております。だからこそ、部局横断の施策を展開するための「福岡県安全・安心まちづくり推進本部」があると考えます。その、推進本部の本部長は「小川県知事」であります。今回の事件で県知事より何だかの指示ないし問題提起はあったのかお尋ね致します。
答7 県では、今年5月、子どもが犠牲となる痛ましい事件が、大津市や川崎市で発生したことを受け、子供たちが日常的に集団で移動する経路の緊急安全点検や、見守り活動の連携の場の構築を働きかけるため、知事の指示のもと、庁内関係連絡会議を立ち上げるなど、安全・安心のまちづくりを進めるための部局横断の取組みを行っているところです。この事件につきましては、知事からの指示はございませんでしたが、平素から全国的にも取り上げられている事件・事故については、「本県でも常に起こりうることを想定し、しっかりと情報収集し、その対策を練っておくように」との指示は受けております。
問8 繰り返すようでありますが、今回の悲惨で大変痛ましい放火殺人事件は、本県でも起きる可能性は否定できない。今後本県としても、さまざまな観点から考え、協議していく必要があると考えます。最後に人づくり・県民生活部部長の、今後の取組みの決意をお伺致します。
答8(人づくり県民生活部長)
現在、県内には約2,300団体、約18万4千人の方が防犯活動に取り組まれ、その活動が実を結び、県内の刑法犯認知件数はピーク時の4分の1以下まで減少してきたところです。このように、日頃から防犯活動に取り組まれている方々が、地域の異変,異常に気づき、更に、その情報を防犯リーダーや警察につなげていただくことが重要であり、そのための研修や、先進地域での実践事例などを紹介し、更なる地域の防犯力の向上に努めてまいります。
また、京都市においては、この事件の原因究明や検証が進められておりますので、その結果を踏まえ、関係機関と一緒になって、必要な対策を協議し、本県において、できる限り、こうした犯罪を防ぐことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
今回の、質問に対して関係部課長のご答弁と県知事の取り組みについては、今後その動向をしっかりと注視させて頂き、引き続きこの案件は、継続的に取り上げて参りたいと思っております。以上で私の質問を終わります。
2019年10月09日 17:49