令和4年9月21日(水)
本日本会議場にて服部誠太郎県知事へ「横断歩道橋の今後のあり方について」の一般質問を行いました。質問・答弁内容は下記のとおりです。
【片岡質問】
「横断歩道橋」は、主に交通量が多く、道路をまたいで、架けられる橋で、車両と、歩行者との交通事故防止や、渋滞緩和の観点から設置される、交通安全施設です。我が国では、1960年代の、高度経済成長期に、モータリゼーションの進展と共に、自動車の保有台数が急増し、これに伴い、交通事故の死者数が、全国で1万人を超えたことで「交通戦争」とも呼ばれた時代でもありました。こうした時代背景の中、交通弱者である、歩行者を事故から守るために、歩行者と自動車、それぞれの交通を分離できる、横断歩道橋の設置が、普及してきた経緯があります。このため、現在、設置されている横断歩道橋の大部分は、昭和40年代に建設されたものであるとお聞きしております。実際に、福岡県が管理する横断歩道橋は、現在、約80箇所。この内、設置後40年を経過している橋は、実に、7割もあるとのことです。県が管理する、横断歩道橋も老朽化が進んでいると思いますが、横断歩道橋の、巡視や点検のルールは、どのようになされているのか、また、その結果、改修しなければならない、横断歩道橋は、何ヶ所あるのか、お伺い致します。
次に、横断歩道橋の設置は、近年バリアフリーの精神や交通弱者優先の精神などの考え方も広まり、一部には、緩やかなスロープやエレベーターが設置され、弱者の方々への配慮もなされている社会となっております。一方では、昨今の少子化によって、児童数が減少したり、学校の統廃合で横断歩道橋のある道が、通学路から外れたり、高齢化による、身体的・体力的な理由なども重なり、従来型の横断歩道橋の利用者は激減し、利用形態が変わってきたことで、歩道橋の老朽化を機に、撤去する自治体も増加しております。そこで、福岡県では、近年、撤去された横断歩道橋は何橋あり、その撤去に至った、主な原因は、何であったのか、お伺い致します。私の、地元中間市にも、40年を超えて、使われている横断歩道橋があります。やはり、時代の流れで、利用者も減り、今後の必要性に疑問を感じている市民も少なからずおられます。県下には、市町村が管理している横断歩道橋も数多くあり、同様な課題がある横断歩道橋も多いのではないかと思います。特に、財政基盤が弱い、市町村では、改修や撤去等の費用も深刻な問題だと考えます。そこで、このような、市町村が管理する横断歩道橋の改修や撤去等に関して、市町村からの相談に、県としてどう対応しているのかを伺います。併せて、このように、少子高齢化や都市のバリアフリー化への時代の流れとともに、横断歩道橋の在り方にも、変化があると思います。これまで、交通事故防止のために、大きく貢献してきた「横断歩道橋」ではありますが、社会情勢や周辺環境の変化、時代のニーズ、住民のニーズに合わせて、時には、柔軟に見直していくことも必要かと思います。最後に「横断歩道橋の新設や撤去について、県としての今後の方針」をどのように考えておられるのか、服部県知事にお伺い致しまして、私の一般質問を終わります。
【知事答弁】
①横断歩道橋の巡視・点検とその結果について
県が管理する横断歩道橋については、安全な利用環境を確認するため、概ね1~2ヶ月に1回の頻度で、徒歩による巡視を実施しています。また、こうした日常の巡視に加え、部材の腐食やひび割れなどの変状を把握し、構造物としての健全性を診断するために、概ね5年に1回の頻度で詳細な定期点検を実施してい
ます。県が管理する80橋の横断歩道橋のうち、過去10年間で実施した定期点検において、塗装補修や部材補強などの対策が必要と診断されたものは36橋でありました。この36橋のうち、19橋の対策は既に完了しており、現在、13橋の対策を実施中であります。残る4橋についても早期に対策を講じていく予定であります。
②県が近年撤去した横断歩道橋は何橋あって、撤去に至った主な原因について。
過去10年間で、県が撤去した横断歩道橋は、6橋であります。撤去に至った主な原因は、周辺施設の移転等による利用者の減少、地元自治体の意向、当該横断歩道橋の老朽化などの原因が挙げられます。
③横断歩道橋に関する市町村からの相談について
市町村が管理する道路に関しては、日頃から様々な相談を受けており、横断歩道橋についても、これまでに改修や撤去等の工法や費用に関する相談を受けています。県としては、このような相談に対し、市町村の意向を踏まえ、工事・設計に関する技術的事項や国の補助事業の活用などについて、助言を行っています。
④「横断歩道橋の新設や撤去についての今後の方針」について
横断歩道橋は、これまで主に、交通量が多く交通安全対策上、効果的な箇所に設置して今後も、必要な箇所については、地元の意向も踏まえ、利用者に配慮した横断歩道橋の新設を検討して参ります。一方、昨今の少子高齢化やバリアフリー化といった社会情勢の変化の中で、横断歩道橋へのニーズも変化しております。こうしたことから、既設の横断歩道橋の中で、設置時から周辺状況が変化し、利用者が減少しているものについては、地元自治体の意向や、老朽化の状況等も踏まえ、撤去も選択肢の一つとして検討して参ります。
2022年09月21日 16:15