福岡県議会2月定例会
令和2年2月26日(水)
福岡県議会2月定例会(令和2年度予算議会)が開会されました。会期日程は31日間で来月3月27日迄行われます。世界中で多大な影響を及ぼしている「新型コロナウイルス感染症問題」に福岡県・県議会も勿論のこと最重要案件として真正面から取り組み対策本部も設置される中、小川県知事より令和2年度当初予算はじめ多くの重要案件について提案理由説明が行われました。私自身も様々な役職を拝命致しております。その職務遂行の為、今議会も全身全霊鋭意取り組んで参ります。
【令和2年度 知事所信表明】
本日ここに、第5回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
このたびの議会は、国の補正予算に係る経済対策の効果を速やかに発揮させるための令和元年度補正予算、これと一体となった14か月予算となる令和2年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。議案の説明に先立ち、まず県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第です。 昨年12月、中華人民共和国湖北省武漢市で確認された新型コロナウイルス感染症につきましては、先週県内在住の患者が確認されるなど、事態は新たな局面を迎えております。 県はこの間、私が本部長の「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、ホームページによる発生状況、予防対策等の情報提供及び保健所における相談対応を実施し、県民の皆様の不安の解消、正確な理解を図るとともに、検査体制及び感染症外来協力医療機関による治療体制の強化に取り組んでまいりました。県民の皆様の生命と健康を守ることを最優先に、国、県内市町村、関係機関と緊密に連携をしながら、感染とその拡大の防止に全力を尽くしてまいります。また、改めて県民の皆様に、感染予防の基本となる咳エチケットや手洗いの励行をお願い申し上げます。加えて、中国政府が海外旅行を事実上禁止したことにより、県内宿泊施設の予約キャンセルや中国発のクルーズ船の寄港キャンセルが出ているほか、中国からの部品調達や現地における生産活動などに一部影響が及んでおります。このため、新たに開設した「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」において中小企業、小規模事業者からの経営や資金繰り等に関する相談に対応するとともに、引き続き、本県企業の現地での活動及び県内産業への影響を注視し、必要な対応をしてまいります。本県は、平成29年の九州北部豪雨以来3年連続で災害に見舞われました。引き続き、被災地の復旧・復興に全力をあげてまいります。道路、河川、砂防ダムなどの公共土木施設はもとより、産地の復興のため、農地、農業用施設などの復旧をさらに加速させるとともに、「安全、安心で災害に強い福岡県」の実現に向け、防災減災対策、国土強靱化の推進、防災危機管理体制の強化に取り組んでまいります。また、これまで九州北部豪雨で被災された皆様の一日も早い生活再建・住宅再建に、朝倉市や東峰村とともに力を入れてまいりました。被災された皆様方のご理解、ご協力を得て、応急仮設住宅のうち建設型の仮設住宅に入居された方は昨年秋までに全て退去され、現在、みなし仮設住宅に入居されている方も今年度それぞれの期限内に退去される見込みです。引き続き、被災者の皆様の相談支援を行うとともに、恒久的な住まいの確保を目指す「本再建」に向けた支援や次の住まいに移られた方々が孤立しないためのコミュニティの維持・再生に取り組んでまいります。日田彦山線の問題についても、全力を挙げて、その早期解決を図ります。今、私たちは、急速に進む「少子高齢化・人口減少」、AI、IoTなど最新技術による「第4次産業革命」の進展、そして「人生100年時代」の到来という3つの大きな変化に直面しています。これらをしっかり受け止め、対応していくことによって、県民の皆様、県内の各産業、各地域を元気にし、福岡県のさらなる前進、発展のため、全力を尽くしてまいります。その基本となるのが地方創生の実現です。国と地方が一丸となって地方創生の取組みを始めてから、5年になります。その間、本県の人口は増加基調を維持し、就業者数は目標を大きく上回るなどの成果がある一方、東京圏との転出・転入の不均衡が拡大しており、近い将来、人口も減少局面に入っていくことが見込まれるなど、その実現は道半ばであります。
こうした課題や地域の実情、県民の皆様のニーズなどを踏まえ、第2期「福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略案」を今議会に提案しております。
本県の実情に即し、その特色を生かした施策を講ずることによって、誰もが住み慣れたところで、働き、長く元気に暮らし、安心して子どもを産み育てていくことができる地域社会を作っていき、この大きな課題に立ち向かってまいります。
また、国は、昨年10月に引き上げられた消費税を活用して、幼児教育・保育の無償化など子育て世帯を応援する施策を実施しています。本県においても、このような国の動きに対応するとともに、昨年12月、市町村が実施する子ども医療費助成に対する補助の対象を、令和3年度から、現行の小学生までを中学3年生までに拡大することを決断いたしました。これにより、県内すべての市町村で同一水準の医療費助成を確保し、子育て世帯の経済的負担の軽減と子どもの健康の保持を図ってまいります。先月、本県の文化芸術の拠点となる新県立美術館の建設地を決定しました。本県の新しい顔となり、国内外に誇れる素晴らしい美術館となるよう、基本計画の策定に入ります。さらに、文化芸術とスポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図る条例議案を今議会にそれぞれ提案しております。文化とスポーツは、ともに人生を豊かにしてくれるものです。県民の皆様が、より一層文化やスポーツに親しむことができる環境を整備するとともに、これらを地域活性化のエンジンとしていきたい、このように考えております。私は、知事就任以来、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指して、これまで県民の皆様の生活の「安定」「安全」「安心」の向上に全力で取り組んでまいりました。これからも、生活者の視点を重視しながら、県民の皆様に寄り添う「温かみのある行政」に一層力を入れるとともに、「県民第一」「県民の声を大切に」「県民のために」、スピード感を持って政策を進めていきます。 政策を進めるに当たっては、私自身が職員の先頭に立ち、「チーム福岡県」を引っ張ってまいります。ラグビー日本代表のスローガンである「ONE TEAM」、まさに心を一つにして、成果を積み重ねてまいります。そして、日本海側に位置するこの福岡県を、アジアとともに発展する一大拠点とし、九州を牽引し、我が国のバランスのとれた発展に貢献していきます。 ここで、令和元年度2月補正予算と一体となった14か月予算として編成いたしました令和2年度の当初予算について、ご説明申し上げます。令和2年度当初予算においては、「豪雨災害の復旧・復興、防災減災」を加速するとともに、地方創生の実現に向け、誰もが住み慣れたところで「働く」「暮らす」「育てる」、この3つができる地域社会づくりに取り組むこととしています。
併せて、財政の健全化を着実に推進するため、「財政改革プラン2017」に沿ったメリハリの効いた予算編成を行いました。
令和2年度当初予算の規模は、
一般会計で1兆8,517億2,400万円余、
特別会計の総額で9,557億8,400万円余、
企業会計の総額で387億3,900万円余
であります。一般会計の予算規模は、前年度当初予算比で3・7%の増で、当初予算、14か月予算ともに過去最大となっております。
歳出予算については、社会保障費が幼児教育・保育及び高等教育の無償化等により、134億円の増となっております。また、公共事業費については、国の補正予算を最大限活用し、後ほどご説明申し上げます補正予算を含めた14か月予算で310億円の大幅増、当初予算においても、前年度を上回る額を確保しました。
さらに、県税等の増加に伴い、税関連市町村交付金等が560億円増加しております。歳入予算については、昨年10月の地方消費税率の引き上げの影響等により、県税等が、687億円の増で、過去最大となっております。国庫支出金については、国の補正予算を最大限活用したことにより、14か月予算で142億円の増となりました。
次に、令和元年度の補正予算について、ご説明申し上げます。
今回の補正予算は、国の経済対策の効果を速やかに発揮させるために必要な経費を措置しております。補正予算の額は、一般会計で331億400万円余であります。これにより、令和元年度の一般会計の総額は1兆8,264億5,800万円余となります。引き続き、14か月予算における歳出予算の主要施策について、ご説明申し上げます。
第1は、「豪雨災害の復旧・復興、防災減災」であります。
豪雨災害により被災した道路や河川等の復旧を着実に推進するとともに、河川の拡幅、砂防施設の設置など災害の再発防止対策に取り組みます。また、九州北部豪雨で被災した朝倉地域の河川沿いの農地において、収益性の高い園芸品目を導入した複合経営に取り組む被災者の方々に加え、新たな担い手に対し、必要な施設・機械の整備を支援します。さらに、災害復旧工事等により、仮住まいを余儀なくされている方の恒久的な住まいの確保を支援するため、引越費用や民間賃貸住宅に入居する際の初期費用を助成します。地域防災力の向上を図るため、引き続き、緊急輸送道路、河川、砂防施設の整備、ため池、クリーク等の安全対策を加速するとともに、地域での防災減災活動のリーダーとなる防災士のスキルアップ研修を行うなど、ハード・ソフト両面にわたり、県民の皆様の安全確保に万全を期してまいります。
第2は、「地方創生の推進」です。
その1つ目の柱は、「住み慣れたところで『働く』ことができる地域社会づくり」であります。 地方創生の要である「魅力ある職場」を一つでも多く作っていきます。県内雇用の8割を担い、県経済の発展と活力の原動力である中小企業に対し、その成長段階と事業環境に応じたきめ細かな支援を、引き続き行ってまいります。人手不足や「第4次産業革命」の進展など、中小企業を取り巻く環境は大きく変化しており、中小企業が持続的に発展していくためには、生産性の向上が課題となっています。昨年9月に設置した「中小企業生産性向上支援センター」を拠点として、引き続き、現場の実態とニーズに即した生産工程の合理化等の生産性向上を支援することにより、県内中小企業の人手不足や働き方改革に対応してまいります。中小企業振興資金の融資枠を十分に確保し、一層の経営安定を図るほか、商工会議所、商工会などが行うプレミアム付き地域商品券の発行を引き続き支援することとし、新たに複数の発行団体において共通利用できる商品券や地域限定の専用アプリを活用したキャッシュレス商品券をその対象にします。昨年、2年連続で、全国7つの特区の中で国から最も高く評価された「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、設備投資額が3,190億円に達し、約1,770人の新たな雇用が生まれました。この特区を一層活用するとともに、生産の国内回帰の動きを捉え、引き続き企業誘致に取り組んでまいります。また、基幹産業である自動車をはじめ、IoT、ロボット、ブロックチェーンなどの「第4次産業革命」に係る革新的技術やバイオ、水素エネルギー、航空機、宇宙ビジネスなど、今後、本県経済を牽引していくことが期待される産業の育成に力を入れてまいります。県内ベンチャー企業への投資拡大を図るため、「福岡県ベンチャービジネス支援協議会」において、県内の総投資額の目標を設定し、その進捗管理を行うとともに、会員の拡充、有望企業や投資等に関する情報提供の充実に取り組むことにより、協議会のプラットフォーム機能を強化します。先端技術分野におけるスタートアップを支援するため、有望な起業家に対して、創業のためのノウハウを集中的に指導するほか、今後成長が期待されるブロックチェーンや宇宙分野へのビジネス展開を支援する研究会を新たに設立します。自動車産業について、電動車部品の技術講習や加工指導により、地元企業の技術習得を支援し、この分野への参入を促進していきます。バイオ産業の拠点化を推進するため、研究開発から試作、製造まで一貫した支援を行うインキュベーション施設を整備します。 県内企業の航空機産業への参入を促進するため、引き続き工業技術センターによる技術支援を行うとともに、航空機関連企業を誘致するため、新たに航空機メーカーやサプライヤー本社に対し、県内企業の技術力や本県の立地優位性を売り込んでまいります。
農林水産業では、昨年、15年連続販売単価日本一を達成した「あまおう」、認知症予防の効果が期待できる機能性表示食品として認められた出荷数九州一の「はかた地どり」など、県産農林水産物の一層のブランド力の強化をはじめ、輸出の促進、担い手の確保にさらに力を入れてまいります。また、「スマート農林水産業」を実現し、農林水産業を「稼げる、魅力ある産業」にしてまいります。
新品種のナシ「玉水」の早期普及と産地形成のための技術開発に取り組むとともに、海外における品種・商標登録を行うほか、「秋王」「早味かん」「北原早生」「甘うぃ」の販売・消費の拡大を図るため、首都圏、関西圏の量販店において試食会を実施します。 「福岡の八女茶」について、その歴史と伝統、品質の高さを表したロゴマークを活用して首都圏において商談会や空港でのPRを行うことにより、知名度を全国に広げ、ブランド力の一層の強化と販売・消費の拡大を図ってまいります。輸出促進については、新たな輸出先国とすべく、マレーシアにおいて、販売促進フェア、日本食レストランでの試食会を開催します。担い手対策として、新規就農アドバイザーを配置し、市町村やJA等と連携して、農地の確保や技術習得についての課題を解決し、新規参入者が円滑に定着できるよう支援します。そのほか、林業について、主伐から植栽までの作業の効率化を図るため、年間を通じて植栽できるコンテナ苗の活用を支援するとともに、その親となる樹木を増やし、供給の確保を図ってまいります。「スマート農林水産業」への転換に向けて、水田・園芸農業については、引き続きAIやICTを活用した先進的な機械の整備を支援するとともに、新たに相談窓口の設置、研修会の開催を行います。 水産業では、有明海におけるノリ漁場の潮位や水温等の情報を、漁業者がスマートフォンでリアルタイムに把握できるシステムを導入します。
昨年、日本国内はもとより、世界中から高い関心と注目を集めた「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が大成功を収めました。本県では、博多の森球技場で3試合が開催され、事前キャンプも県内各地で行われたことにより、欧米豪を中心に国内外から大勢の方々が本県を訪れました。また、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」を契機に、本県においても多くの外国人の来訪が見込まれます。これらを一過性のものとしないために、4月から導入する宿泊税を最大限に活用し、「受入環境の充実」「観光資源の魅力向上」「効果的な情報発信」「観光振興の体制強化」に向けた新たな施策を展開し、福岡県の観光における競争力をより一層高め、「持続可能な観光先進県」を目指します。
「受入環境の充実」については、宿泊施設の魅力を向上させるため、バリアフリー化などの施設整備を支援するとともに、平日閑散期に観光客を呼び込むためのニーズ調査を実施し、その協力者に宿泊料金の割引を実施します。
「観光資源の魅力向上」については、市町村や観光協会等と連携し、訪日外国人向けの体験プログラムを組み込んだ旅行商品を造成するとともに、広域サイクリングルートの案内板や路面表示を整備します。
「効果的な情報発信」については、東南アジアや欧米豪からの誘客を図るため、それぞれの国や地域の旅行サイト等を活用したプロモーションを実施するほか、福岡・北九州空港から直接入国する欧米豪からの誘客促進に取り組みます。
さらに「福岡県ウェブ観光案内所」を開設し、SNS上で問い合わせに対応するとともに、おすすめの観光情報を提供します。 「観光振興の体制強化」については、宿泊・飲食事業者や観光ボランティアガイド等の観光産業を支える人材を育成します。
また、市町村が地域の実情を踏まえ、創意工夫を凝らした振興施策が実施できるよう、「福岡県宿泊税交付金」を交付します。そのほか、東京事務所の体制を強化し、事務所とアンテナレストラン「福扇華」が持つ情報発信機能を連携させ、本県の圏域ごとの魅力をPRするフェアを開催するほか、本県が誇る食をはじめ、伝統工芸品などの物産、観光、文化などの魅力を、東京から全国へ効果的に発信してまいります。
将来の発展基盤の充実も重要です。 福岡空港の滑走路増設を着実に進めるとともに、北九州空港について、新規路線の誘致や路線の定着、国際貨物便の拡大に取り組み、一層の利用促進を図ります。そのほか、産業振興の基盤となる県内基幹道路の整備、いわゆる下関北九州道路の実現に向けた取組みを引き続き進めてまいります。 2つ目の柱は、「住み慣れたところで『暮らす』ことができる地域社会づくり」であります。県民の皆様が生涯にわたり安心して暮らし、そして元気に活躍し続けるためには、健康寿命をさらに延ばしていくことが重要です。このため、県民一人一人の健康寿命を延ばす「ふくおか健康づくり県民運動」、スポーツの力で県民生活を元気にする「スポーツ立県福岡」を推進し、その相乗効果により、県民の皆様を健康で元気にしてまいります。従業員や県民の健康づくりに関する取組みを宣言する「健康づくり団体・事業所宣言」の登録事業所は約6,000件となり、また、県民一人一人が健康づくりを楽しみながら続けることができるよう「ふくおか健康ポイントアプリ」の配信も開始しました。このような取組みをさらに推進するとともに、食生活の改善を図るため、「ふくおかヘルシーメニュー」を活用した料理教室の開催、運動習慣の定着のため、県営公園を利用したスロージョギング大会の開催、市町村が実施するケア・トランポリン教室への支援をそれぞれ行います。
「東京2020オリンピック・パラリンピック」について、本県では、開催地東京都に次ぐ28の国・地域の事前キャンプが行われます。また、5月には県内各地を巡る「オリンピック聖火リレー」を、8月には県内市町村で採火したパラリンピックの聖火を集め、開催都市・東京に送り出す「パラリンピック聖火フェスティバル」を実施し、大会を盛り上げるとともに、県民の皆様がスポーツに参加するきっかけにしたいと考えています。「ラグビーワールドカップ2019」で見られたとおり、アスリートの活躍は県民に大きな夢や希望を与えます。また、大規模なスポーツ大会を開催することは、地域の活性化や観光振興、スポーツ産業の創出にもつながり、本県に元気と活力をもたらします。このため、アスリートの計画的・継続的な育成・強化に取り組むとともに、大規模スポーツ大会を誘致・開催するため、新たにスポーツ推進のための基金を創設します。併せて、この基金を管理する財団を設立します。
また、「福岡県スポーツ・コミッション(仮称)」を設立し、このようなスポーツ大会や合宿の誘致に取り組むほか、スポーツツーリズムの推進を図ってまいります。
人口減少が見込まれる中、地域の活力を維持していくためには、すべての県民の皆様に、その能力を存分に発揮していただくことが大切です。このため、女性や高齢者、障がいのある方など、誰もがいきいきと活躍し、安心して暮らせる福岡県にしてまいります。企業での女性活躍を推進するため、女性経営者をはじめ本県で活躍する女性が、業種・地域・世代の垣根を越えて連携する「女性活躍交流会議(仮称)」を新たに開催するとともに、男女の固定的な役割分担意識の解消に向けた取組みを進め、「女性活躍先進県」を目指してまいります。
高齢者の活躍については、「70歳現役応援センター」において、引き続き、就業・社会参加に対する支援や求人開拓を実施するとともに、新たに商店街等において、健康測定会と併せ、「いきいきシニア就業相談会」を実施します。障がいのある方それぞれの特性に応じたテレワークを促進するため、専門の支援員を配置したコワーキングスペースを開設します。そのほか、就職氷河期世代の方の就労を支援するため、「若者サポートステーション」の支援対象年齢を39歳から49歳まで引き上げるほか、ひきこもりの状態にある方やその家族からの相談への対応を充実させるため、「福岡県ひきこもり地域支援センター」のサテライトオフィスを筑豊、筑後、両地域に設置し、支援に携わる人材の育成や地域のネットワーク構築に取り組みます。さらに、日常の買い物に不便な思いをしている高齢者等を支援するため、市町村が地元自治会や商店、交通事業者等と連携し設置する協議会の運営経費及び地域のスーパー等が実施する移動販売に要する経費を助成します。再生可能エネルギーの導入普及の観点から、今後、拡大が見込まれる風力発電について、メンテナンス技術者の育成に取り組むとともに、企業向けセミナーを開催します。また、使い捨てプラスチックの使用を削減するため、事業者と連携し「ふくおかプラごみ削減キャンペーン」を実施するほか、事業者が行う使用済みプラスチックの高度なリサイクル施設の整備を支援します。
暮らしの安全・安心の確保も重要です。 暴力団対策について、引き続き、暴力団に対する徹底した取締りを行うとともに、暴力団員の離脱、就労の促進に取り組みます。本県の飲酒運転による交通事故件数は、近年高止まりの状況にあり、中でも若年層の事故が増えています。このため、自動車学校や高校、大学等と連携した交通安全教育を行うほか、引き続き、交通指導取締りの強化と飲酒運転を許さない社会環境づくりに取り組んでまいります。性暴力対策を強化するため、学校、事業所に専門家を派遣し、性暴力根絶に向けた教育、啓発を行うとともに、罪を犯した者に対して、再犯を防止するため、相談窓口を新たに設置し、専門職員による再犯リスクに応じた支援を実施します。また、高齢者やその家族が安全運転や免許証の自主返納について安心して相談できるよう、運転免許試験場に看護師等を配置します。そのほか、ストーカー被害対策、ニセ電話詐欺対策についても、充実強化を図ります。
3つ目の柱は、「住み慣れたところで『育てる』ことができる地域社会づくり」であります。「出会い応援団体」は、1,800団体を超え、「子育て応援宣言企業」は、7,000社を突破しました。このような取組みをさらに進め、出会い、結婚、出産、子育て、仕事の各ライフステージに合わせたきめ細かな施策を総合的に切れ目なく講じ、県民の皆様の結婚や子育てについての希望をかなえることによって、少子化を食い止めてまいります。 また、すべての子どもたちが夢と希望を持って日々穏やかに過ごすことができるよう、地域を巻き込みながら、児童虐待防止や子どもの貧困対策に取り組んでいきます。児童相談所について、児童福祉司等の大幅な増員により体制を強化するとともに、福岡児童相談所の事務室、相談室等の改修に着手します。
新たに、里親支援を行う民間機関を活用し、里親の開拓、研修、委託後のサポートまで一貫して行う支援体制を整備するとともに、里親委託児童等の高校進学や就職時の費用を助成します。 先天性聴覚障害を抱える乳幼児を円滑に療育につなげるため、「乳幼児聴覚支援センター(仮称)」を新たに設置し、新生児の聴覚に係る検査と支援の体制の充実を図ります。
「社会の宝」である子どもたちが国際的な視野を持ち、地域で活躍する「人財」に育つよう、「ふくおか未来人財育成ビジョン」に沿って、引き続き取組みを進めてまいります。 県立学校における教育のICT環境を充実させるため、校内通信ネットワークやタブレット型パソコン等を計画的に整備してまいります。地域と一体となった学校づくりのため、学校運営方針に地域の意見を取り入れ、地域人材が登下校の見守りや美化活動など学校の様々な活動に参画する体制を作っていきます。また、社会全体で子どもを育む機運を醸成するため、新たに11月を「ふくおか教育月間」とし、市町村と連携しながら、各種イベントを開催します。児童生徒、保護者へのきめ細かな心のケアを行うため、スクールカウンセラーを新たに小学校に配置するとともに、県立高校への配置を拡充します。 学ぶ意欲のある生徒等が家庭の経済状況にかかわらず安心して教育を受けることができるよう、私立高校の授業料を実質無償化するほか、新たに、高校専攻科、県立3大学及び私立専門学校の授業料等の減免を支援します。
こうした取組みを総合的に進め、「人生100年時代」を誰もがいきいきと活躍し、健康で充実した人生を過ごせる「100年グッドライフ福岡県」の構築を目指してまいります。以上が、予算の概要であります。
本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました令和2年度予算議案20件及び令和元年度補正予算議案1件のほか、条例議案25件、契約の締結に関する議案8件、経費負担に関する議案5件、その他の議案2件、人事に関する議案2件であります。このうち、条例議案について、その概要をご説明申し上げます。
第1は、「福岡県文化芸術振興条例」の制定であります。文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、県民の心豊かな生活及び活力ある地域社会の実現に寄与するため、その基本理念を定め、県の責務等を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めるものであります。
第2は、「福岡県スポーツ推進条例」の制定であります。スポーツの推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、県民の心身ともに健康で文化的な生活及び活力ある地域社会の実現に寄与するため、その基本理念を定め、県の責務等を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めるものであります。
第3は、「福岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の全部を改正する条例」であります。全国的に高額な賠償が想定される自転車事故が発生していること及び転車活用推進法の施行等を踏まえ、自転車損害賠償保険等への加入を義務化するとともに、自転車の活用推進に関する規定を追加するほか、所要の規定の整備を行うものであります。
第4は、「知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例」の制定であります。「地方自治法」の一部改正により、知事及び職員等の損害賠償責任の一部免責について、県条例で定めることができることとされたことに伴い、必要な事項を定めるものであります。
そのほか、児童相談所において虐待相談対応の困難な事案が増加していることを踏まえ、当該職員の給料の調整額を改正する条例、医師確保が困難な診療科の専門医取得を目指す者に対し、研修資金を貸与する条例、県立学校及び市町村立学校職員の定数並びに本県警察官の定員を改める条例、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例13件などであります。以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。